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家の買い時、売り時はいつがいいのか

消費税が10%に上がる前に駆け込み需要があるとか、東京オリンピックパラリンピックが開催される20年に不動産価格が暴落するとか、いつの時代でも家の買い時について注目されている話題だ。
家を買いたい人、家を売りたい人にとって住宅の買い時や売り時は最大の関心事だろう。日本人の住宅観自体が変容して住宅問題に大きな影響を与えている。
住宅の着工件数が経済指標になっている。戦後から日本政府は景気の刺激として住宅購入を進めてきた。「夢のマイホーム」などと不動産関係の業者が宣伝して、業者が家信仰を、住宅金融や優遇税制その他の住宅政策で後押ししてきた。
インフレで景気が上向きの時は、住宅購入の利点はあった。家主は昇進昇給により給与は上がり、購入した物件の価値も上がっていった。ローンの返済も容易にできていた。返済できなくても物件を売ればローンは無くなるといったことも起こったはずだ。

しかし、バブルは崩壊して不動産の価値は暴落した。景気が悪くなると、右肩上がりの昇給は亡くなってしまった。
ローンは給与が上がることと物件の価格上昇を前提にして組むものだったので、バブル崩壊後はローンで物件を買う制度は時代に合わなくなった。

それにも拘わらず、政府は、ブル崩壊直後の景気対策として「ゆとりローン」を導入した。
これは最初は金利を安くして月々の返済額を抑え、景気が回復して、給料や地価が上がっていることを前提として、6年後から11年後に金利が上がって返済額が大幅に増えるローンである。
「賃貸並の支払いで家が買える」だなんていって、住宅の購入者を煽った。
実際には、給料や地価が上がっている前提は崩れ、デフレがずっと続いた。失われた20年だなんて言われ方をしている。
デフレでは、給与が上がることも無く、物件の価格も下がる一方であった。当然。ゆとりローン金利は一定期間が過ぎると、返済額増加に収入が追いつかずに返済に苦しむ人が急増した。
住宅ローンの残債を別の金融機関で借り直して返済する「ローンの借り換え」も給与が上がらないのと住宅価値も下がる状態では、お金を貸す金融機関は無い。
返済期間の繰り上げなどの救済策も取られたが、返済期間が長くなると金利も高くなるので返済額も高くなる。恐らくローンは定年前に返済し終えることを前提としているので延びれば、定年後にもローンの返済が有る人もいた。

バブルが崩壊して返済が厳しいと住宅の売り買いが止まった。この時に家を売る為に今回は目先のゆとりで釣る姑息なローンではなく、長期固定金利ローンの「フラット35」である。
返済期間は最長35年で、金利(一時は1%を切った)は一律である。


会社員だと一等地にある高級な物件はローンでも購入出来ない。
買えたとしても、郊外にある物件で、都市部に通勤する為に1時間以上かけていた。そんな物件に「ゆとりローン」を組んで手を出した人がいた。
この人たちがローンを返済しているうちに、物件の価格が下がり、都市部にある物件がかつて自分たちが購入した価格より安い値段で売りに出されている様子を目にすることが有っただろう。
かつて郊外に5000万円の物件をローンで購入して返済しているうちに、都市部に近い物件が4000万円で買えるようになるだなんて誰も予測しなかった。

住宅ローンを組んで、苦労して返済してきた50代後半から60代を見ていると、長期のローンを組んでまで家を買おうと思わない人は増える。
40~50代になると昇給がないことにも20年来のデフレにも慣れていて、デフレが前提の行動をするようになる。また、世代で子供1人という人が多い。
子供が一人なら家を買わなくても、2LDK程の賃貸でも生活が可能である。

さらに若い40歳から下の若い世代ともなると、「家を持ちたい」という欲望が少ない。金利が低いと言われても、もっと、ローンを組むなら金利が下がってからでもいいと考える。
もっと下の世代だと、家を持ちたいとも思わな人が多くいる。人口が減ることで空き家も増える。空き家の処分に困る。
そうなると、どの世代からも家を建てようという積極的なマインドは出てこない。だから金利1%を切るフラット35も借りる人がいない。
もう、住宅政策はもはや経済の起爆剤にはなりえないというこになる。

そもそも、住宅政策をすることで景気対策をしてはいけない。もっと家を安く買えるようにすることが本来の景気対策である。
下らない上に意味がない緊縮政策をするから、家が売れなくなる。具体的には、増税をしたり、市場にあるお金の量を増やさない。技術は発達して生産性が上がるのに、市場にあるお金の量を増やさないとデフレが起こる。
デフレが起こらないように金融緩和して、インフレを起こす。インフレが起こると給与は上がるし、持っている物件の価値が下がらないので、家を容易に買えるようになる。
税金が高いから家を買いたくない人は居る。家にかかる固定資産税を撤廃すれば家を買いたいと思う人は増える。


今の日本では、デフレを脱却しようとしているタイミングで消費税は上がる。消費税の増税によってまたデフレに戻る可能性がある。
日本の世帯数は減少する。こういった状態が続くのであれば、家の価値が下がる。
家の買い時、売り時はいつがいいかなんて言われるけど、デフレを脱却してインフレが続き、増税がされないようになるまでは、家の買い時は無い。

借金をしていると生活に制約が付く。言い方を変えると借金を返済するまでは、お金に支配されて生活することになる。
見通しの悪い将来に対しては家を持つことがリスクになると考えることは当然である。
賃貸住宅を選択することは現実的だ。賃貸だと収入が減れば、賃貸が安い物件に住み替えることが出来るので、仕事を辞める選択も容易になる。
転勤にも備えることが出来る。また、老後は生活がしやすい都市で生活をする選択も出来る。

ライフプランを考えると持ち家よりも借りるという選択肢のほうが賢明だ。
長期のローンにより制約が付く生活は辞めよう。